下地:
職員にはどのようなアドヴァイスをしましたか?
先生:
私は「声」について話しました。
例えば、子供の名前を呼ぶ時、先生の声ではなく、
母親として呼ぶのでは、声のトーンや表情がまりっきり
違いますよね。
ですから、子供を呼ぶ時は、先生の声ではなく、
母親の声で呼びなさいと教えました。
そうしているうちに、私たちは徐々に、
一つの家族になっていったのです。
下地:
その後、子供達も増えていきますよね。
街で自由奔放に生きてきた子供達の躾は
大変だったでしょうね。
先生:
その通りです。
親もなく、たった一人で生き抜いてきた子供たちですから、
いろいろと問題を抱えていました。
例えば盗癖のある子供があいました。
その子には、もう寝るところも食べるものもあるのだから、
お金を盗む必要がないことを、しっかりと言って聞かせました。
ところが癖はなかなか治りません。
そこで、わざと、テーブルの上にお金を出しっぱなしにしました。
それは、自分の意思の力で、行動をコントロールできるように
するためです。何度かお金がなくなりましたが、、その都度
その子を呼んで根気良く言い聞かせました。
盗らない時には、うんと褒めてあげました。
そして、その子の盗癖は完璧に無くなりましたよ。